子どもたちは、遊具遊びを通して、様々な動きや危険を察知する力を養います。
「この高さまで登ってみよう」「ここからジャンプしてみよう」というチャレンジからケガをしてしまうこともあります。これは、成長に必要な遊具の機能であり、「リスク」と呼びます。
しかし、中には遊具を使っての死亡事故や、重大な後遺症が残るケースもあります。
原因として、利用者に起因する「人的ハザード」と、遊具の形状が不適切な「物的ハザード」の2つがあります。
人的ハザードの例
首にかけた水筒がすべり台にひっかかる/サンダルで不安定な場所を渡る/狭い踊り場に大勢が集まる/柵を飛び越える/ローラーすべり台を素足で歩く/ヘルメットをかぶったまま、橋の間を抜ける/6歳以上が対象の遊具を3歳児が使用する 等
事故防止としては、周りの保護者が子どもたちに注意喚起することが重要となります。
物的ハザードの例
飛び降りた地面が土ではなくコンクリート/簡単に超えられる柵の高さ/指が挟まる隙間がある/鬼ごっこスペースとブランコの可動域に境界が無い/体は抜け出せるが頭がひっかかる形状の段差がある/遊具間のスペースが狭い/転倒したすぐそばに塀がある/遊具内で気分を悪くしたが大人が入れないスペース/鉄や木の部品が劣化し破損/服がひっかかりやすい形状がある 等
現在は、こうした事故を受けて国土交通省が安全基準を定めています。
起こりうるハザードを予測し、健全な形・配置での遊具を広め、より安全にチャレンジできる場を提供するのが、遊具施工業者としての役目です。
あなたの町の遊具 形状と劣化具合 本当に大丈夫ですか?
Q:教室や廊下で履くシューズと、体育館で履くシューズを分ける学校があるのはなぜ?
A:結論から言うと、教室や廊下のワックス成分を、体育館に持ち込ませないためです。
シューズの違い自体は、以下の通りで使い分けます。
上 履 き:靴裏(アウトソール)が白で、床にゴム色が着かないもの。
体育館履き:靴裏が飴色で、グリップ性があり運動に適したもの。
体育館の床は、スポーツに適したポリウレタンという塗料が塗ってあります。
すべりにくさ・光沢・床材の保護(耐摩耗・耐水性)に最適な塗料です。
体育館の床に塗る塗料は、これだけで十分になるよう設計されています。
もし、このポリウレタンの上に一度でもワックスをかけるとどうなるか?
1か月ほどで新しいワックスは効き目を失います。そして以前よりもツルツルになる可能性があります。
ポリウレタン塗料と多種多様なワックスが、相性よく馴染むことはまず無いからです。
(体育館用ワックスという製品を市販で見ますが、一時的な効果であり、何度も塗り直すことを
前提としている製品です。あくまで清掃用品で、管理の上で適しているとは言えません。)
ワックス塗りにより、次のような負の連鎖が起きてしまいます。
問題なのは、10年間で7件、体育館床の木片が肺に刺さるなどの重大事故が起きていることです。
これを受けて平成29年5月29日に、文科省より
「体育館の床板の剥離による負傷事故の防止について(通知)」という文章が出ています。
その中に「水拭き及びワックス掛けの禁止」という管理願いがあります。
上図の様に、木が痛んで、危険な床になってしまうことを予防するためです。
再度、結論として
ウレタン塗料・床木材を保護して、体育館を安全に使用するために…
ワックス(水分)を極力持ち込ませないように、シューズを上履きと体育館で分ける
そのように対応する学校が増えてきているということになります。
ちなみに、体育館にワックスがあることで、修繕作業に次のような支障がでる可能性があります。
貴体育館において、床の修繕計画がある際には、ワックス使用の履歴をご確認のうえご相談ください。
①ワックスを剥がす
→厚塗りのワックスにはそれだけ多くの剥離剤を使うが、剥離剤にも水分があるし
ある程度の時間を浸透させないといけない。結果、床が傷み、大きく反ってしまう。
②床面の削り替えをする
→痩せた木の間に積年のワックスが染みていて、削り替えでは取れない溝の奥にワックスが残る。
その上にウレタン塗装をすると、ワックス部分と馴染まず、そこからペリペリと塗料が剥がれる。
③コートラインの修正や追加をする
→こちらも、剥離剤や削りでラインを書く部分のワックスを取るが、他の床との境目には
ワックスがあるため、塗料が混在し、剥がれにつながる。